黄銅鉱:別子銅山筏津坑、海面下477メートルで採取したもの。銅品位17パーセント。 別子銅山記念館所蔵 |
別子銅山の鉱石は、三波川変成岩帯に属する層状含銅硫化鉄鉱鉱床(キースラガー)で、別子型鉱床とも言います。 層状含銅硫化鉄鉱とは、層になった銅の鉱石中に硫黄や鉄などを含んでいる鉱石のことを言います。 その主な構成物は黄銅鉱と黄鉄鉱です。 この鉱床は、上部は45度、下部は70度の傾斜をもって西北から東南に下がり、鉱石の厚さは、50pから8m(平均2.5m)走行延長は平均約1000m、地中に介入する側線延長は約2600mの板状で、海抜約1300mの露頭から海面下1000m以上も地中深く入り込んでいる大鉱床で、世界に類を見ない規模のものもでした。 左の鉱床の標本は、別子銅山筏津鉱床の標本です。 筏津鉱床の鉱脈全幅の鉱石です。 筏津坑24番坑(海面下436メートル)で採取されました。 |
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別子本山鉱床断面図 | 鉱床の標本(筏津鉱床) |
銅の製錬は銅鉱石を火で蒸し焼きにして硫黄分を除くことから始まります。 鉱石を蒸し焼き(焙焼:ばいしょう)にすると鉱石中の硫黄分が酸素と結合して亜硫酸ガスが発生します。 亜硫酸ガスは空気中に放出され、このガスが植物に触れると植物が枯れ、農作物などにも被害が起こります。 別子銅山の銅鉱石は特に硫黄分が多く含まれており、より多くの亜硫酸ガスが発生していました。 山中での焙焼によって山の環境は草木が枯れ、一面山肌があらわれてしまいました。(下の写真参照) その後、製錬が新居浜側に移りさらに被害を大きくしていきました。 |
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煙害のしくみを説明したアニメーション |
これは、木方(きがた)と呼ばれる銅の鉱石をあぶる焼鉱窯(やきがま)が設置されていた場所です。 ここから排出される煙(亜硫酸ガス)により、周辺が真っ白に覆われている様子が分かります。 また、草木が無く山肌が表れているようすも分かります。 人間にとっても良くない環境であったはずです。 |
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木方の焼鉱窯(やきがま)の様子 明治期撮影 別子銅山記念館蔵 |
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筏津山荘ご主人 近藤鉄男さん 平成13年(2001)8月9日 別子山村筏津山荘にて収録 |
鉱脈の規模と採鉱の方法について (別子銅山筏津坑跡にて) (1分14秒) |
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一島一家会会長 田中昌一さん 平成12年(2000)2月15日 新居浜市民文化センター観光ボランティアガイドにて収録 |
煙害の発生のしくみと その移り変わりについてについて (1分18秒) |
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